水底に沈んだ歴史的な遺跡や遺物を対象とする水中考古学でも、印章に関わる貴重な発見が報告されています。1281年に起こった蒙古襲来にまつわるものです。この時、圧倒的な武力によって壊滅寸前であった日本は、奇跡的な暴風雨によって難を逃れますが、その嵐によって沈没した蒙古軍の船の中から軍隊が所持していたと推測される銅印が引揚げられてます。1981年のことです。この印章の横には1277年の刻印が印されており、まさに往時のものであったことがわかります。印の文字は元の皇帝フビライがチベットの僧侶であったパスパに命じてつくらせたパスパ文字です。ちなみに、この印章は最前線の部隊の隊長に与えられたものであったと考えられています。約700年の時を越えて再び出現した印章に、はるかな歴史の足跡を見ることができるわけです。

図版出典 / 鷹島町立歴史民俗資料館所蔵


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