印章憲章

われわれは有形無形の法の管理を受け、また社会的な義務と責任を課せられている印章業者であることを自覚しなければならない。

印章は個人の権利義務の証左となり、憲法で保障される人間の尊厳の証ともなるものである。その印章の重要性を認識し、社会及び個人の利害を充分に考慮し、いやしくも営利追及におぼれて営業の処理を誤れば、社会的責任は計り知れないものがある。

今こそ、印章に対する市民の正しい認識を喚起し、印章の意義と重要性を大いに宣伝し、理解を深めて顧客である消費者の被害をなくすことに努め、印章の権威を高めることこそわれわれ印章業者の義務であることを確認したい。

印章の権威はわれわれの業の原点である。
印章を業とすることに誇りを持とう。

  1. 印章の歴史は、人間社会の文化発生と同時に生まれ、五千年を経ている。そして様々な形態の変化はあったが、明治六年太政官布告以来、現代に受継がれ重要な実用の場を保っている事は周知の事実である。印章業者であるわれわれは、そのことを自覚するべきである。
  2. 印章業者は、社会の秩序と最もつながる業であることを確認すべきである。そして社会人として、技能及び営業に於いても範となるべき意欲と理念を持たなければならない。
  3. 印章業者は、印章の本来の目的、信証の具としての約束を忘れてはならない。
    信証の本質は「唯一無二」の形であり個の表現である。
    もし、その信憑性を疑われるようなことになれば業界の危機となる。そのような社会的危惧を引き起こすことのない確固たる営業の姿勢こそ大切である。
  4. 印章業界の機械化・省力化は、時代の趨勢である。
    しかし、機械化の限度と機械万能の認識から陥る弊害に特に留意すべきである。機械化により印章本来の使命を忘れてはならない。
  5. 印章の製作についての高度な技術も機械化も印章業者としての自覚と責任奉仕の心があってはじめて真の営業がなされるものである。
    大きく変わりつつある政治・経済・文化の中で、我が業界も一世紀を超える歴史の中、最も困難な時代を迎えている。この危機を打開する為にはその困難の根元を考え、起り来る様々な問題に対して反省と姿勢を正す業者の経営理念の確立こそ、最も求められるものである。

公益社団法人 全日本印章業協会