徳川家康の印章の特徴は歴代の印章に儒教に関わる文字を採っている点です。最初の印章は「福徳」と刻まれていました。やがて、自身の名前が入った印章を使うようになっていきます。ちなみに、公的な貿易船にもおなじように自分の名前の入った「朱印状」を与えています。これを携えた貿易船が「朱印船」です。戦乱を経て泰平の世が訪れると、行政が細やかに整備され、商業が発達するにつれて、印章は庶民にまで普及していきます。証文に用いられる印章は当時から実印と呼ばれ、名主が農民たちの印章を預かり、これを代官に届け、これによって印鑑帳がつくられました。また、今日の戸籍台帳ともいえる「宗門人別改帳」も作成され、寺の住職が檀家であることを証明するために印章を捺しました。

図版出典 / ハンコロジー事初め 新関欣哉著


caltual hall information hall exchange hall experience hall top